前回、キューブラー=ロスの「5段階」を紹介しました。
今日は、その最初の段階である「否認」についてです。
否認という言葉を聞くと、「現実逃避」という印象を持つ方もいるかもしれません。
でも、実際は少し違います。
否認は、心が自分を守るために働くブレーキ。
4月中旬、出向元の上司から届いたLINEを見たとき、ぼくはしばらく画面を見つめたまま動けませんでした。
「読み間違いではないか。」
「何かの冗談ではないか。」
「あとで訂正の連絡が来るのではないか。」
頭の中では、そんな考えばかりが浮かんできました。
いま振り返ると、現実を受け入れられなかったのです。
でも、そのときは「受け入れられない」という自覚すらありませんでした。
人は、大きすぎる出来事に直面すると、すぐには現実を理解できません。
それは弱いからではなく、心が壊れてしまわないように、少しずつ現実に慣らそうとしているから。
医療現場でも、突然大きな病気を告げられた患者さんが、
「そんなはずはありません」
と繰り返される場面があります。
ご家族が突然亡くなった方が、
「まだ帰ってくる気がする」
と話されることもあります。
どちらも、珍しい反応ではありません。
人の心には、それだけ強い出来事を一度に受け止める力はないんです。
だから、否認は間違いではありません。
むしろ、ごく自然な反応。
もし今、大きな出来事の直後で、
「まだ現実だと思えない。」
そんな気持ちがあるなら、自分を責めなくて大丈夫です。
心は、ちゃんとあなたを守ろうとしています。
焦って前を向こうとしなくてもいい。
まずは、「まだ受け止め切れていないんだな」と、自分の現在地を確認するだけで十分です。
あなたは最近、「まだ現実だと思えない」と感じた出来事がありましたか。
もしよかったら話せる範囲で構いませんので、コメントで教えてください。
一つひとつ読ませていただきます。
次回は、「怒り」について書きます。
怒りは悪い感情ではありません。でも、怒っているときに決めないほうがいいことがあります。




上司からの突然の通知に画面を見つめたまま動けなくなったという、ご自身の生々しい実体験を交えた「否認」の解説。たしかに、心が自分を守るために働くブレーキですね。
「読み間違いではないか」「あとで訂正が来るのでは」と頭の中で都合よく解釈しようとする混乱は決して弱さではなく、大きすぎる衝撃を一度に受け止め切れないときの自然な防衛反応なのだと客観的に理解できます。