ショックを受けたとき、人の心には5段階があります。
前回は「否認」。今回は、その次に訪れる「怒り」について考えてみます。
ショックを受けたあと、多くの人が「怒り」を経験します。
「なんで自分なんだ。」
「どうして、こんなことになったんだ。」
「相手が悪い。」
そんな感情が次々と湧いてきます。
ぼくにもありました。
正直に言うと、あの頃は相手のことばかり考えていました。
「あの言い方はないだろう。」
「もっと別の伝え方があったはずだ。」
頭の中で何度も同じ場面を繰り返していました。
でも今なら分かります。
あれは、心が自分を守ろうとしていたのです。
怒りにはエネルギーがあります。
大きなショックを受けると、人は何もできなくなります。
そのままでは心が折れてしまう。
だから怒りという形でエネルギーを生み出し、自分を支えようとするのです。
怒ること自体は悪いことではありません。
ただ、一つだけ気をつけたいことがあります。
怒っているときは、視野がとても狭くなります。
相手の欠点ばかりが目につきます。
「もう辞めてやる。」
「全部終わらせよう。」
そんな極端な結論にも飛びつきやすくなります。
医療の現場でも、強い感情の中で下した判断を、あとから後悔する場面を何度も見てきました。
だからぼくは、自分にもこう言い聞かせています。
怒っているときは、大きな決断をしない。
そのルールだけは守るようにしました。
怒りは、いずれ少しずつ落ち着いてきます。
そのときになって初めて、見える景色があります。
だから今、怒りの真ん中にいる人がいたら、自分を責めなくて大丈夫です。
ただ、大きな決断だけは少し先送りしてください。
それだけで、未来はずいぶん変わることがあります。
あなたは、怒りに任せて何かを決めてしまって後悔した人を見たことはありませんか。もし思い当たることがあれば、話せる範囲で構いません。こっそりメッセージで教えていただけるとうれしいです。
次回は、「取引」という少し聞き慣れない段階について書きます。
「あのとき違う行動をしていれば……」
そんな思いが何度も頭をよぎる理由を、一緒に考えてみたいと思います。
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ショックを受けた後に湧き上がる怒りを、「心が折れないように、自分を守るためのエネルギーを生み出している」と捉える見方に、とても救われる思いがしました。理不尽な状況に対して相手への不満が頭を離れなくなるのは苦しいものですが、それが防衛反応なのだと知るだけで、自分の感情を少し落ち着いて受け入れられますね。