考えても、答えが出ない。
調べても、うまく形にならない。
そんなとき、「自分には考える力がないのかもしれない」と感じることがあります。
でも、すぐに答えが出ないことは、思考力がないという意味ではありません。
むしろ、答えが出ない問いを手放さずに持ち続けることも、考える力の一部です。
ぼくたちは、質問された瞬間に答えられる人を、頭の回転が速い人だと考えがちです。
もちろん、その力が必要な場面もあります。
ただ、星友啓先生の「スタンフォード式 問いの科学」を受講して、改めて感じたことがあります。
思考力とは、一度で正解を出す力ではありません。
問いを立て、仮の答えを出し、その答えに対してもう一度問いを立てる。
その連鎖を続ける力です。
問いを持ち続けるとは、どういうことなのか。
ぼく自身にも、長い時間をかけて答えにたどり着いた経験があります。
5年前に止まった問いが、論文につながった
ぼく自身にも、長い時間をかけて答えにたどり着いた経験があります。
以前、鍼灸師の先生が使う「鍼」を用いた研究に取り組んでいました。
最初のアイデアが生まれたのは、2013年頃でした。
実際に少し研究を進めてみたものの、出てきた結果はどこかふわっとして、論文にするまでには至らない。
何かは起きているように見える。でも、研究としてどう捉え、どう形にすればよいのかが分からない。
その場では、きれいな答えを出せませんでした。
「この結果を、どう考えればよいのだろう……」
その問いを、ずっと頭の片隅に置いていました。
しばらくして、別のテーマを調べているときに、たまたまある論文に遭遇しました。
それを読んだ瞬間、「これを土台にすれば、頓挫した鍼の研究を形にできるのではないか」というアイデアが浮かびました。
そこからランダム化比較試験という難しい手法に組み直し、最終的に論文として発表できたのが2018年。
最初の着想から、数年が経っていました。
問いを持ち続けたから、答えの材料に気づけた
振り返ると、その論文との出会いは偶然です。
ただ、問いを持ち続けていなければ、そのまま通り過ぎていたと思います。
頭の片隅に問いが残っていたから、新しく触れた情報と、過去の研究がつながりました。
問いは、答えを探すための検索窓のようなもの。
問いがあると、日々入ってくる情報の中から、関係するものに気づきやすくなります。
すぐに答えが出ないことは、思考が止まっていることではありません。
問いを手放さずに生活している時間も、思考の一部なのです。
もちろん、四六時中その問題だけを考え続ける必要はありません。
同じところをぐるぐる回り、苦しくなるなら、いったん離れたほうがよいこともあります。
それでも問いを一文にして残しておけば、別の経験や知識に出会ったとき、もう一度戻ることができるんじゃないかと、ぼくは考えています。
問いを「未回答」のまま保存する
答えが出ない問いに出会ったら、無理に結論をつくらなくて大丈夫です。
その代わり、問いを「未回答」のまま保存しておく。
これだけで、思考は止まりにくくなります。
やることは、シンプルです。
まず、いま考えている問いを一文で書きます。
次に、どこまで分かっていて、何がまだ分からないのかを分けます。
最後に、新しい情報や経験に触れたとき、その問いに戻って、もう一度問い直します。これだけです。
未回答のまま保存することは、先送りとは少し違います。
考えることをやめるのではなく、未来の自分に問いを引き継ぐことです。
今の自分では見えなかったものが、数ヶ月後、数年後の自分には見えることがあります。
知識が増えたり、経験が増えたり、人との出会いがあったりすると、同じ問いでも見え方が変わります。
問い続ける価値は、同じ答えを何度も考えることではありません。
自分が変わるたびに、違う角度から問い直せることにあります。
あなたにも、昔は答えが出なかったのに、今なら少し違って見える問いがあるかもしれません。
もし思い当たるものがあれば、今日、一文だけ書き残してみてください。
ノートでも、スマホのメモでも、Substackの下書きでも大丈夫です。
「私は、何についてまだ答えを出せていないのか」
この一文からで十分です。
よければ、その問いをコメントしてください。
すぐに答えを出す必要はありません。
むしろ、答えが出ていないままの問いで大丈夫です。
この連載では、問いを立てる力を、少しずつ実践に落とし込んでいます。
次回は、一つのテーマから問いを何通りにも広げるための、視点の動かし方について書きます。
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問いを持ち続ける練習を、一緒に続けていきましょう。




答えが出ない問いを手放さずに持ち続けることも、考える力の一部です。
ココが、そういう考え方ステキだなぁ。なるほど!と刺さりました😌ありがとうございます!
参考になりました。
問いに囲まれて答えを出さずにいるモヤモヤが晴れました。